ほとんどの人がペルソナ設計を上手にできません。
あるいは、設計できたとしても「そんな人いるの?」と疑ってしまうほど、存在感のないペルソナができあがります。
理由は明確。
『ペルソナ設計が上手じゃない人がよくやってしまいがちなターゲット設定の仕方』があって、それは、ターゲットの悩みをクライアントに聞き出してペルソナを設計するというやり方。
「え?このやり方が基本でしょ!」そう思いますよね?でも、これが間違ったペルソナを作ってしまう第一歩。
正直、ペルソナを作るのに、厳密には正解不正解はないんですけども、少なくとも存在感のあるペルソナや商品サービスのセールスメッセージが刺さりそうな顧客像を浮かべることが必要ですよね。
そして、限りなくリアリティのあるペルソナに近づけることはできるんです。
ということで、ここからは、ペルソナ設計の極意をマスターしていきましょう。
刺さるペルソナと刺さらないペルソナ
そもそも、ペルソナを考える時、基本的に3つの視点で考えてほしいんですけど、みなさんは考えられていますか?
結論から言うと、3つとは、デモグラフィック(属性・統計情報)、ジオグラフィック(地理的情報)、サイコグラフィック(心理的情報)のこと。そして、この中で、どれが1番重要かと言うと、サイコグラフィクです。
もちろん、どんな商品を取り扱うのか、誰を対象とするのかによって、重要視すべき点は異なりますが、基本的にはサイコグラフィクをしっかり検討する必要があります。ただ、個人的には、最近はデモグラフィックも重要だと思いますが。
さて、ひとまずここで、それぞれの概要をお話ししておきます。
デモグラフィック(属性・統計情報)
デモグラフィックとは、消費者の人口統計的な情報を指します。具体的には、以下のような要素が含まれます。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 収入
- 家族構成
- 学歴
- 人種・民族
デモグラフィック情報は、ターゲットの属性を明確にするのに役立ちます。たとえば、こんなターゲット像が浮かびます。

高級スキンケアブランドであれば、「30代以上の女性、高収入層」
オンライン学習プラットフォームなら、「20代の学生や若手ビジネスパーソン」
といったターゲティングが可能になります。
ただし、デモグラフィック情報だけでは「なぜその商品を購入するのか?」という深い動機までは分かりません。そのため、次に紹介するジオグラフィックやサイコグラフィックと組み合わせることが重要です。
ジオグラフィック(地理的情報)
ジオグラフィックとは、消費者の居住地や地理的な要因を基にした分類です。具体的には、次のような要素。
- 国・地域
- 都市・地方
- 気候・天候
- 人口密度(都市部・郊外・田舎)
- 文化的背景
ジオグラフィック情報を考慮することで、ターゲットの生活環境に合わせたマーケティングが可能になります。

寒冷地に住む人向けに防寒機能の高い衣類を販売
都市部のビジネス層に手軽に栄養補給できる食品を提供
このような形で、よりパーソナライズされた戦略が取れます。デモグラとジオグラを組み合わせると、「都心部に住む30代の高収入層に高級スキンケアを販売する」みたいな感じになります。
サイコグラフィク(心理的情報)
そして、最後にサイコグラフィックです。サイコグラフィックは、消費者の価値観やライフスタイル、心理的特徴を指します。具体的には、以下の通り。
- 興味・関心
- 趣味・ライフスタイル
- 価値観・信念
- 購買動機・行動パターン
- 社会的地位・志向性(ラグジュアリー志向かミニマリストか、など)
サイコグラフィックの重要性が高い理由は、購買の「本当の動機」に関わるからです。例えば、こんな感じ。

健康志向の高い人には「オーガニック・無添加食品」を訴求
環境問題に関心がある層には「サステナブルな商品」を提案
時短を求めるワーママには「手軽で効率的な商品」をアピール
といった形で、より深くターゲットに響くメッセージを作ることができます。
マーケティングにおいて、デモグラフィック、ジオグラフィック、サイコグラフィックの3つの視点を適切に組み合わせることで、より精度の高いターゲティングが可能になります。
特に、サイコグラフィックは「なぜその商品を買うのか?」という本質的な部分を明らかにするため、近年のマーケティングでは非常に重視されています。
しかし、単独で考えるのではなく、デモグラフィックやジオグラフィックと組み合わせて、ターゲットをより深く理解し、最適なメッセージを届けることが重要です。
ペルソナの質を高めるためには顧客◯◯◯を高めるべし!
ただ、ここまでの知識は使える理論ではあるものの、あくまでも机上の空論。デモグラフィクもジオグラフィックもサイコグラフィックも、単に並べるのではなく、そこから顧客解像度を高めることが何より重要です。
例えば、みなさんも、ペルソナをこんな風に考えてみていませんか?
40代の会社部長で仕事上、英語が必要で会話ができるようになりたい。さらに、TOEICもあるので点数も取れるようになりたい。とか、 40代の女性起業家で、セールスが自分でできるけど、人に任せると成約率が落ちる、かと言って自分でやると労力かかるし自動化したい。
こういう、ちょっとふわっとしたペルソナ作りがちですよね。実際のところ、こういう人もいなくはないと思いますが、このようなペルソナ設定だと、誰にでも思いつきそうで、差別化につながっていきません。
じゃあ、どうするのかという話なんですけれども、特別なことは必要なくて、顧客解像度を高める作業が必要です。
簡単に言うと、お客様像を具体的に言語化していく作業です。そして、そのために必要なのが、「なぜ?」という顧客を縦に掘り下げる質問です。
例えば、先ほどの英語の例で考えてみましょうか。
「40代会社部長で仕事上、英語が必要で会話ができるようになりたい。さらに、TOEICもあるので点数も取れるようになりたい」でしたよね。
・なぜ、仕事上、英語が必要なのか?
・なぜ会話ができるようになりたいのか?
・なぜTOEICの点数アップが必要なのか?
こうしたことを掘り下げてみます。
すると、昇進や給料アップのために英語が必要という話が出てくるかもしれません。 会話重視なのは、外国の取引先に馬鹿にされたくないという感情が出てくるかもしれません。
この2つだけでも、前者後者で訴求軸は全く違いますよね。英語ができないことを馬鹿にされたくない人と、出世や評価アップを考えて英語を学びたい人は違います。
もしくは、この両方の要素が必要になるかもしれません。と、まだまだ、顧客解像度を高めるやり方はありますが、基本の一手としては、このように『なぜ?』で掘り下げていくことです。
ぜひ、明日からの実務で意識してみてください。
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