AIが文章を作れる時代に、「人間にしかできないことってなんだろう?」と、自問する人も多いと思います。
私自身、コピーライターとしてAIを活用しながらも、最近あらためて感じたことがあります。それは、「人が反応する文章=整った文章とは限らない」ということです。
AIが作った文章は、ロジックも構成も整っていて、ある意味、正解に近い。でも、なぜか「刺さらない」「ちょっと弱い」と感じることがあります。文章としては”完璧”でもです。
でも、この違和感こそが、人間にしか分からない、感情の“機微”なのだと思います。
「伝わる文章」と「感じる文章」は違う
私も最近、ある広告のテキストを書いていました。ものは試しにAIに任せてみたものと自分が書いたものを競わせてみたのですが、結果としては、自分が書いたものの方が広告としては成績がよかったです。
自慢したいわけではなく、このことからも、必ずしもキレイな文章が正解とは言えないなと。教科書にのっている文章よりも、どこかで誰かが書いた落書きの方が、心に響くこともありますよね。
自分の言葉で自分の思う魅力を語ることって、なんだかんだこれからの時代、特に、自分にしか生み出せない唯一無二の言葉になると思います。
コピーライターは「違和感」を扱うプロ
ここから、なぜ、AIの文章では不十分なのか?を掘り下げてみたいと思います。
私は、AIの文章に物足りなさを感じる理由は、「言葉の中にある“違和感”を掘り下げる力」が人間にしかないからだと考えています。
たとえば、AIが出したコピーを見て「うーん、ちょっと弱いな」と思ったとき、それが何に起因するのかを言葉にできる人は、まだまだ多くありません。
たいていの人は、「うーん、まあいいんじゃない?」で済ませてしまう。
でもコピーライターは違います。
- もしかすると語尾が弱いのかもしれない
- 表現が説明的すぎて感情に届いていないのかもしれない
- 読み手の“想像”が動かない言葉なのかもしれない
その「なんか違う」の正体を言語化し、デザインし直す。
これが、プロの仕事です。
AIを使いこなしても、「問い」がなければ機能しない
もちろん、私はAIを否定しているわけではありません。むしろ、AIは今やライターにとって最高の相棒です。
・アイデアの壁打ちに使える
・構成をサッと作ってくれる
・抜け漏れをチェックしてくれる
でも、それをどう料理するか?
「このコピー、伝わる?響く?違和感ない?」という問いを立てられるかどうかは、人間の領域です。
AIは“良い答え”を出してくれます。けれど、“良い問い”を立てるのは、私たち人間の役割なのです。
結局、「感じる力」がコピーの差を生む
AIと人間、どちらが優れているかという議論は、もはや意味がないのかもしれません。
重要なのは、「AIができること」と「人間にしかできないこと」の違いを知り、それを掛け算していくこと。
私が思う、これからのコピーライターに必要な力は、
- 微細なニュアンスを感じ取る感性
- その“違和感”の正体を分析する言語化能力
- 読み手の立場に立った、空気ごと伝える設計力
この3つだと思っています。
まとめ|AIと共存する時代、人間の「違和感センサー」が武器になる
文章の良し悪しを、数値や構文だけで測れる時代になったからこそ、“人が反応する文章”には、まだまだ人間にしか宿せない要素があります。
AIは整えてくれる。でも、AIは感じない。
「ちょっと弱いな」という感覚。
「ここ、なんか違うかも」という直感。
その違和感を掘り下げていくのが、ライターという仕事の醍醐味です。
整った文章に魂を込める。
その最後のひと手間を担うのが、私たち人間なのだと思います。
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